冬はパウダースノー、夏は合宿地。スポーツホテルシルバー志賀が考える一の瀬の使い方【スポーツホテルシルバー志賀】

冬はパウダースノー、夏は合宿地。スポーツホテルシルバー志賀が考える一の瀬の使い方【スポーツホテルシルバー志賀】

一の瀬の雪は、踏むと「ギュッ」と音がします。

水分を含んだ重たい雪ではなく、足元で細かく鳴る、軽い雪。風が吹けば、粉のように舞い上がる雪です。

志賀高原のほぼ中央に位置する一の瀬エリア。その一角にある「スポーツホテルシルバー志賀」は、冬になればスキーやスノーボードを楽しむ人たちを迎える宿になります。一の瀬タンネの森スキー場を裏手に、一の瀬ファミリースキー場へも徒歩約5分。雪を楽しむには、申し分のない場所です。

けれど、この宿の顔は冬だけではありません。

夏から秋にかけて、ここには競歩やクロスカントリーの選手たちがやってきます。標高約1,650mの高地でありながら、平坦な道もある一の瀬は、持久系スポーツのトレーニングに向いた場所でもあるのです。

冬は滑る場所。夏は鍛える場所。そして一年を通して、自然を守りながら人を迎える場所——。

シルバー志賀の社長に、この宿が考える“一の瀬の使い方”を聞きました。


一の瀬の中心で、冬も夏も人を迎える宿

一の瀬ファミリーへ徒歩約5分、タンネの森を裏手にする立地

「スポーツホテルシルバー志賀」は、長野県下高井郡山ノ内町、志賀高原一の瀬エリアにある家族経営の宿です。一の瀬タンネの森スキー場を裏手にし、一の瀬ファミリースキー場へは徒歩で約5分。バス停もすぐ横にあり、車でも公共交通でもアクセスしやすい立地です。

宿名は、もともと「シルバー志賀」でした。それを約10年前、現社長の代になってから「スポーツホテルシルバー志賀」へと改めています。

「もともとはシルバー志賀だったんですけど、スポーツに特化してやりたいなということで、スポーツホテルシルバー志賀にしました」

先代から続く名前を残しつつ、宿の方向性をはっきりと言葉にする。その小さな決断から、今のシルバー志賀の姿は始まっています。


冬の一の瀬は、軽い雪を楽しむ場所

志賀高原らしいパウダースノーを、宿のすぐ近くで

冬のシルバー志賀は、スキーやスノーボードを楽しむ個人客を迎える、ごく普通の山のホテルとしての顔を持ちます。一の瀬ファミリーやタンネの森へすぐ向かえるので、朝はゆっくり朝食をとってから滑り出すこともできます。

社長に志賀高原の雪について尋ねると、こんな言葉が返ってきました。

「ここはサラサラしていますよね」

ベタつかず、足元で粉のように舞い上がる雪。踏めばギュッギュッと鳴る、独特の感触。志賀高原ならではの軽い雪は、初めて訪れた人ほど驚くといいます。

寒さも、この雪を支える要素のひとつ。冷え込みが厳しい分、雪のクオリティは保たれます。「寒くてびっくりした」という体験そのものが、一の瀬の冬の入口なのかもしれません。


もう一つの冬の顔、クロスカントリーの練習地

スノーモービルでコースを整える、雪上のトレーニング環境

冬のシルバー志賀には、スキー・スノーボード客とは別に、もう一つの来訪者があります。クロスカントリースキーの選手たちです。

社長は、地域の有志とともに、スノーモービルや圧雪車を使ってクロスカントリーコースを整備しています。きっかけは、同級生がコースを自分たちの足で踏んで作っていたという話を聞いたこと。「圧雪車があるなら、俺が踏んでやるよ」と声をかけたところから、現在の整備体制が始まったといいます。

「スノーモービルでコースを整備して、カッターを入れたりしています」

カッターとは、クロスカントリースキーが滑るための二本のレールを雪面に刻む道具のこと。シーズン中は、こうした地道な作業の積み重ねによって、雪上の“線”が引かれ続けています。

他地域で雪不足が続く年には、選手たちが宿泊先から一の瀬まで通って練習することもあるそうです。

「やっぱり標高が高いというのは、一つの武器なのかなと思います」

雪の量、雪質、標高。一の瀬が冬に持っている資源は、滑る人だけでなく、走る人にも価値があるのです。


夏の一の瀬は、身体を鍛える人たちの場所になる

標高約1,650m、平坦路もある“ちょうどいい高地”

夏のシルバー志賀は、宿の使われ方が大きく変わります。中心になるのは、競歩やクロスカントリーをはじめとした持久系競技のスポーツ合宿です。陸上の指導者から「合宿できる場所はないか」と声をかけられたことが始まりで、今では20年近く続く関係になりました。

一の瀬がスポーツ合宿地として選ばれる理由を、社長はこう語ります。

「一の瀬は標高があるのと、平らなところが多いんです。競歩には向いています」

標高は約1,650m。高地トレーニングの環境としては十分でありながら、坂ばかりではなく平坦な道も確保できる。この“ちょうどよさ”が、継続して練習を重ねる持久系競技にとって大切なのだといいます。

「標高はお金を出しても買えないものなので、この標高をうまく使えるものがあるといい」

競歩はかつて50km種目が中心でしたが、現在は30kmが主流となり、よりスピードが求められる競技へと変わってきています。それでも、走り込み・歩き込みの土台を作る場所として、一の瀬の地形は今も選ばれ続けています。受け入れ実績には、全国レベルで活躍する競技団体や、社会人実業団、官公庁系の選手たちの名前も並びます。


早朝に動き出す、合宿期のシルバー志賀

選手のスケジュールに合わせて、宿の時間も動く

スポーツホテルとしてのシルバー志賀の本気は、施設の派手さよりも、日々の運営の細部に表れます。

たとえば、競歩の長距離練習が組まれる日。選手たちは夜が明ける前から動き出し、昼まで歩き続けることもあります。観光宿の朝とはまったく違うリズムが、合宿期には流れているのです。

社長は、こう話します。

「朝3時におにぎりを作って、フロントに置いておくんです。選手はそれを食べて、5時ぐらいからスタートします」

まだ暗いロビーに並ぶおにぎり。それを手に取り、高原へ出ていく選手たちの背中。観光宿ではまず見られない景色が、合宿期のシルバー志賀には日常としてあります。

選手の時間に、宿の時間を合わせる。シンプルですが、それを20年近く続けてきたことが、この宿の信頼につながっています。


音楽ホールから、トレーニングルームへ

雨の日でも練習を止めないための場所

シルバー志賀には、館内に簡易トレーニングルームがあります。実は、この空間にはちょっとした歴史があります。

もともとは、音楽合宿の利用者のために用意されていたホール。シルバー志賀がスポーツに軸足を置くようになるなかで、その場所の役割を「身体を鍛えるための部屋」へと書き換えていったのです。

「音楽の方たちで使っていたホールに、トレーニングルームを作って。選手の方たちは自由に使ってくださいという形にしています」

バーベルなどのウェイトに加え、屋内でドリルができるスペースも確保されています。

「雨の日は上でウェイトトレーニングをしたり、スペースを使ってドリルをしたりできます」

外での練習が難しい日でも、身体を動かし続けられる。施設を新しく建てるのではなく、すでにある空間の使い方を変えていく。シルバー志賀の歩みは、そんな積み重ねの上にあります。


一の瀬の自然は、使うだけでなく守るもの

温泉よりも、水とイワナが棲む環境を守る

ここまで読んで、こう感じた方もいるかもしれません。「志賀高原なのに、温泉の話が出てこないな」と。

実は、温泉を持たないことは、シルバー志賀にとっても、一の瀬エリアにとっても、意識的な選択のひとつです。

「温泉は本来であればあった方がいい。でも、どこを守るかによって、その後のことを考えた時に、守ってきてよかったと思える方がいいのかなと思います」

温泉は宿泊施設にとって大きな魅力ですが、湧出した湯の成分や排水が、川の生き物や周辺の植生に影響を及ぼす可能性もあります。一の瀬では、イワナが棲む水環境を守るという考えが、地域として古くから受け継がれてきました。先代の時代から、水への向き合い方は何度も問い直されてきたといいます。

「未来はやっぱり水を大切にしていきたい。自然も大切にしていきたい。そこはぶれちゃいけないと思います」

便利さや派手さを優先するのではなく、長い時間をかけて守るべきものを選ぶ。シルバー志賀の“スポーツホテル”という顔の裏には、一の瀬という土地への深いまなざしがあります。


これからの一の瀬は、宿ごとの“色”が見える場所へ

シルバー志賀の色は、スポーツに寄り添うこと

一の瀬には、規模も雰囲気も得意分野も異なる宿が集まっています。社長は、未来の一の瀬について、こんな考え方を話してくれました。

「ホテルによって色が違うので、それぞれが色分けをして、お客さんが選びやすくなるのがいいと思います」

修学旅行を得意とする宿、団体に強い宿、インバウンドに向き合う宿、そしてスポーツに寄り添う宿。それぞれの“色”がはっきり見えれば、訪れる人は自分の目的に合った場所を選びやすくなります。

シルバー志賀が描く今後の姿には、外来でも利用できる第2トレーニングルームの構想や、トレーナーによるケア・マッサージの提供、プロテインバーの常設といったアイデアもあります。いずれも検討段階の話ですが、選手だけでなく一般のスキーヤーにも、トレーニングや身体のケアという価値が広がっていく可能性を感じさせます。

「お客さんとしても選びやすさを、まずこちらが提供する。それを見て選んでもらえるようにしたい」

宿が自分の色を出し、その色を見て客が選ぶ。シンプルですが、地域全体で実現するのは簡単ではない関係性です。シルバー志賀は、その第一歩を「スポーツ」という言葉で踏み出しています。


冬に滑り、夏に鍛え、自然を守る。一の瀬の使い方を知る宿

冬は、軽い雪を楽しむスキー・スノーボードの拠点として。雪上を走るクロスカントリー選手たちを支える練習地として。夏は、標高と平坦路を生かしたスポーツ合宿地として。そしてその土台には、水と自然を守るという、一の瀬で長く受け継がれてきた考え方があります。

スポーツホテルシルバー志賀は、派手な宿ではありません。けれど、一の瀬という土地が季節ごとにどんな顔を見せるのかを、誰よりもよく知っている宿のひとつです。

次に志賀高原を訪れるとき、自分が何をしに行くのかを少しだけ意識してみてください。雪を踏みに行くのか、身体を鍛えに行くのか、ただ静かな高原の空気を吸いに行くのか。目的が見えてくると、選ぶべき宿の輪郭もまた、はっきりしてきます。

シルバー志賀は、その答えのひとつを持っている宿です。


スポーツホテルシルバー志賀 施設情報

項目内容
施設名スポーツホテルシルバー志賀
所在地〒381-0401 長野県下高井郡山ノ内町大字平穏7149 志賀高原一の瀬
TEL0269-34-2245
FAX0269-34-2804
E-mailsilver@shigakogen.jp
標高約1,650m
立地一の瀬タンネの森スキー場を裏手にし、一の瀬ファミリースキー場へ徒歩約5分/バス停すぐ横
利用シーン冬:スキー・スノーボード/夏〜秋:トレッキング、登山、高地トレーニング、スポーツ合宿
館内設備簡易トレーニングルーム(雨天時のウェイト・室内ドリル対応)
公式サイトhttps://www.silvershiga.com/

※スポーツ合宿のご相談、構想中の外来向けサービスに関する最新情報は、公式サイトまたは電話・SNSのDMよりお問い合わせください。