標高1700メートルの志賀高原一の瀬エリアは、夏でも空気がひんやりと澄んでいて、木道を一歩入れば湿原の匂いが変わります。何度も夏を過ごしてきた者としては、着いた瞬間のあの涼しさや自然の美しさを、はじめて日本に来る人にもそのまま味わってほしい。ただ、正直に言えば、たどり着くまでが少しだけややこしい。新幹線で長野までは分かりやすいのに、その先のバスや乗り換えで戸惑う人が多いのです。
このガイドは、成田・羽田・関西・中部の各空港から一の瀬までを、順を追って一枚にまとめたものです。所要時間、料金、支払い方法、そして外国から来た人がつまずきやすい点まで。迷わず、涼しい高原の入口まで運びます。
まずは「長野駅」を目指す
どの空港から来ても、旅の中継地点は長野駅(ながのえき)です。ここまでの行き方は大きく2通り。
東京側(成田・羽田)からは、東京駅で北陸新幹線に乗り換えて長野へ。名古屋・関西側(中部・関西空港)からは、名古屋駅で特急「しなの」に乗り換えて長野へ。
長野駅に着いたら、そこから志賀高原・一の瀬まではバスで山をのぼります。つまり旅は「空港 → 長野駅 → 一の瀬」の3ステップで考えると分かりやすい。
ステップ1:空港から長野駅まで
| 出発空港 | ルート | 所要(目安) | 料金の目安 |
|---|---|---|---|
| 羽田空港 | 空港 → 東京駅(モノレール/京急で約30分)→ 北陸新幹線で長野 | 約2時間30分 | 新幹線 約8,340円(指定席・通常期)+空港アクセス 約700円 |
| 成田空港 | 空港 → 東京駅(成田エクスプレス等で約60分)→ 北陸新幹線で長野 | 約3時間〜3時間30分 | 新幹線 約8,340円+空港アクセス 約3,000円 |
| 中部国際空港(セントレア) | 名鉄で名古屋駅(約28〜40分)→ 特急しなので長野 | 約3時間30分〜4時間 | しなの 約7,460円+名鉄 約1,250円 |
| 関西国際空港 | 特急はるかで新大阪(約50分)→ 東海道新幹線で名古屋(約50分)→ 特急しなので長野 | 約5時間 | 乗り継ぎ多め。おおむね1万5千円前後 |
補足を少し。
東京〜長野は北陸新幹線でおよそ80〜90分。最速の「かがやき」なら1時間17分で、日本でいちばん分かりやすい区間です。羽田・成田からはまず東京駅か上野駅を目指してください。料金を抑えたいときは、自由席のある「はくたか」「あさま」が片道7,810円です。
名古屋〜長野は特急「しなの」でおよそ2時間50分から3時間。運賃と指定席特急料金をあわせて約7,460円です。中部国際空港からは名鉄で名古屋駅へ出るのが基本。
関西空港からは乗り継ぎが多く時間もかかります。時間を優先するなら、関西空港から東京(羽田)へ飛行機で移動して新幹線に乗る方法もあります。旅程に合わせて選んでください。
高速バスという手もあります。東京から長野、大阪・京都から長野・湯田中を結ぶ夜行・昼行の高速バスが運行しています。安さ優先ならこちらも候補です。
ステップ2:長野駅から一の瀬まで
ここが今回いちばん大切なところです。公共交通なら方法は2つ。
プラン1:急行バス(早くて楽)
JR長野駅の東口、23番バス乗り場から「志賀高原行き」の急行バスに乗ります。志賀高原の玄関口「山の駅(やまのえき)」バスターミナルまでおよそ70分。予約は不要で、並んだ順に乗車します。
長野駅から一の瀬までの運賃は2,800円。夏の一の瀬・奥志賀方面への直通便は運行期間が決まっていて、2026年は7月1日から8月31日まで(と11月1日から12月4日まで)。時刻表の上では長野駅東口を13時05分に出る奥志賀高原行きが一の瀬に直通し、一の瀬着は14時39分ごろです。
大切な注意がひとつ。一の瀬まで直通するバスは本数が少なく、時間帯によっては「山の駅」で志賀高原内の路線バス(奥志賀高原線)に乗り換えることになります。到着時刻を決める前に、必ず最新の時刻表で直通便と乗り継ぎを確認してください(公式PDFのリンクは末尾に)。
プラン2:電車+路線バス(のんびり派・スノーモンキーと合わせるなら)
長野電鉄の長野駅から湯田中(ゆだなか)行きに乗り、最速40分で湯田中駅へ。特急に乗る場合は別に特急券が必要です。湯田中駅からは志賀高原行きの路線バスで約30分、山の駅に着きます。
このルートは、地獄谷のスノーモンキー(野猿公苑)や渋温泉と組み合わせたい人に向いています。なお志賀高原の中にはタクシー会社がありません。湯田中駅からのタクシー利用は可能なので、荷物が多いときは覚えておくと安心です。
ステップ3:長野駅バス乗り場の歩き方
新幹線の改札を出たら東口へ。バス乗り場は23番です。
現金で支払う予定の人は、東口1階エスカレーター付近にある長電バスの案内所「あるよ」で、乗車券を先に買っておくのがおすすめ。往復券もここで買えます。土日祝日を中心に「キャッシュレス決済専用」の便が走る日があり、その便では車内で現金が使えません。事前購入しておけばどの便でも安心です。
車内でも支払いはできますが、下車をスムーズにするため、事前購入が推奨されています。乗車券のオンライン販売はありません。
車で来る人へ
レンタカー派なら、上信越自動車道の信州中野(しんしゅうなかの)インターチェンジが最寄りです。ここから志賀高原経由で一の瀬まではおよそ40分。
山道の運転になるので、時間には余裕を持って。夏でも天気が急変することがあります。また、志賀高原周辺では道路の通行規制がかかる時期があります(例年、県道502号 奥志賀公園栄線など)。出発前に最新の規制情報を確認しておいてください。冬に来る場合は、冬用タイヤやチェーンが必須です。
支払い・きっぷ・予約のこと
現地で困らないための実務メモです。
志賀高原の中を路線バスで動き回るなら、長電バスの「志賀高原ALLDAYきっぷ」が便利。大人1,000円で志賀高原内の路線バス・急行バスが一日乗り放題です。ハイキングで拠点間を移動する日にとくに効きます。販売は湯田中営業所、長野駅東口「あるよ」、熊の湯ホテル、高天ヶ原ホテル、バス車内など。
宿は基本的に予約制です。山の小さな宿では、支払いが現金のみのこともあります。カードが使えるか不安なときは、予約時に確認しておくと安心です。
外国から来る人がつまずきやすい5つのこと
- 一の瀬への直通バスは本数が少ない。到着時刻を決める前に、直通便か乗り継ぎかを時刻表で確認する。
- 山は涼しい。標高1700メートルの一の瀬は夏の朝晩でも上着が要ります。
- 現金を少し持っておく。小さな宿や売店は現金のみのことがある。バスは事前購入が安心。
- 最終バスの時間を先に調べる。夕方以降は便がぐっと減ります。
- 電波が弱い場所がある。谷筋や登山道では圏外になることも。地図は事前にダウンロードを。
着いてから
山の駅でバスを降り、志賀高原の中のバスに乗り換えて、あるいは直通のバスに揺られて、一の瀬へ。窓の外の緑がだんだん濃くなり、空気がひんやりしてくるのが分かります。バス停に降り立った瞬間の、あの澄んだ涼しさ。長い道のりの理由は、そこに立てばきっと分かります。
