志賀高原は上信越高原国立公園のただ中にあって、ツキノワグマもニホンザルも、人が歩く道のすぐそばで夏を過ごしています。長野県は県内の森林すべてがクマの生息域だと案内しています、志賀高原にかぎらず、山を歩く以上は出会う可能性がゼロになる場所などありません。そのため備えが一番大事になってきます。持ちものと歩きかた、そして見かけたあとの連絡先という3つさえ押さえておけば、あとは歩くだけ。静かな森を気持ちよく歩くために、トレッキングに出かける前に一緒に準備をしましょう。
連絡先と確認先
| 用途 | 連絡先・確認先 |
|---|---|
| 志賀高原で野生動物を見かけた | 志賀高原野生動物目撃報告フォーム |
| コースの状況と自然の最新情報 | 志賀高原ビジターセンター 0269-34-2133(9時から16時、年中無休、入館無料) |
| エリア全体の問い合わせ | 志賀高原観光協会 0269-34-2404(8時30分から17時、年中無休) |
| 山ノ内町の有害鳥獣対策 | 山ノ内町役場 農林振興課 耕地林務係 0269-33-3112 |
| 長野県内の出没状況 | 長野県 ツキノワグマ情報マップ |
鈴とラジオが効く理由
志賀高原観光協会は、山を歩くときにクマ鈴やラジオなど音の鳴るものを必ず身に着けるよう、シーズンを通して繰り返し呼びかけています。ツキノワグマはたいへん憶病な動物です。出会いがしらに驚いたときにこそ予測のつかない行動に出る、というのがビジターセンターの説明になります。クマ鈴やラジオは、こちらの居場所を先に相手へ伝えることで、出会いがしらそのものを起こさせないようにするための道具です。朝の森は静かですから、鈴の音は思いのほか遠くまで届き、こちらが近づいていることを先に相手へ知らせてくれます。
危険度は時間帯によっても変わり、早朝と夜間、それに雨や霧で見通しの悪い日は、互いに気づくのが遅れる分、いつもより特に注意が要ります。渓流沿いでは水音が足音も鈴の音もかき消してしまいますから、沢の近くを歩く日ほど、一人で先行せずに複数人で固まって進んでください。クマ撃退スプレーの携行もお勧めですが、山に着いてから買えるものではないので、山に向かう前の買いものリストに入れておいてください。
子どもの鈴は、リュックの外側の見える位置に付けておくと、はぐれたときの居場所も分かって一石二鳥になります。出発前に蓮池の志賀高原ビジターセンターへ寄っておけば、コースごとの状況とその日の森の様子を、歩きはじめる前にまとめて教えてもらえます。志賀高原ビジターセンターは蓮池の志賀高原総合会館98のなかにあり、9時から16時まで年中無休、しかも入館は無料です。
歩きながら見るところ
歩いているあいだに見ておきたいものは3つで、笹薮の不自然な揺れ、足あとと糞、そして木の幹に残った爪あとが、それにあたります。このどれかを見つけたら、その先に相手がいると考えて、無理に進まずにその日は引き返してください。山ノ内町も、痕跡を見つけたらその場で引き返すことを住民向けの対策の第一に挙げているほどです。
もう1つ、においの管理も、山を歩くときの作法のうちに入ります。においの出るものをどう持って歩くかで、寄ってくる確率がはっきり変わるためです。志賀高原は国立公園ですからゴミ箱がなく、食べ残しもゴミもすべて持ち帰る決まりです。環境省は、落とした食べ物を拾い上げて持ち帰るところまで利用者に求めています。食べ物のにおいは人の歩く道にクマを引き寄せますから、袋はリュックの奥にしまって歩いてください。
クマに出会ったら
距離が離れているうちに気づけたなら、あわてずに声をかけてこちらの存在を知らせれば、たいていのクマは向こうから離れていってくれます。問題になるのは近い距離で不意に出会ってしまった場合で、守るべきことは、大声を出さない、背を向けて走らない、物を投げないの3つです。走って逃げるとクマは追う習性がありますから、この3つのなかでも背中を見せることが、結果としていちばん危険な選択になってしまいます。この3つを守ったうえで、クマから目を離さないまま、落ち着いてゆっくり後ずさりしてください。
万が一襲われたときの姿勢は、環境省が国立公園の利用者向けに示しているとおり、うつ伏せになって腕で首と顔と腹部を守り、動かないというものです。
無事に離れたら、志賀高原野生動物目撃報告フォームから、見かけた場所と時刻、それに頭数を報告しておいてください。報告フォームは、志賀高原ビジターセンターが受け口です。あなたが送った1件が、翌日その道を歩く人の備えにそのままつながっていきます。
サルとの距離
志賀高原にはニホンザルもいて、観光協会が挙げている作法は、近づかない、目を合わせない、餌を与えないという3つになります。サルの社会では近い距離で相手の目をじっと見つめることが敵意の表示にあたりますから、写真を撮ろうとして正面から見つめるのは避けてください。
食べ物の入ったビニール袋は、音と形をサルが食べ物と結びつけて覚えていますから手に持たずに歩いてください。ぶら下げて歩けば、中身を見せなくても、それだけで寄ってくることがあります。車道でサルを見かけたときの路上での撮影も、あなた自身と後続の車の両方にとって危ない行為です。
地獄谷野猿公苑の作法は4つで、食べ物を見せない、触ったりおどかしたりしない、近くから目を見つめない、離れて観察するというものです。犬や猫を連れて入ることも禁じられています。人から餌をもらう癖がつくと、サルは人を見るたびに食べ物をほしがるようになり、やがて手荷物を奪うところまでいきます。人に慣れたサルはやがて追い払われる対象になってしまいますから、距離を守ることが、そのままサルの側を守ることにもつながるわけです。
よくある質問
問:志賀高原を歩くとき、クマに出会うことはありますか。 答:あります。上信越高原国立公園のなかにある志賀高原はツキノワグマの生息域にあたり、長野県は、目撃のない地域でも出会う可能性があると案内しています。
問:夏の志賀高原を歩くとき、何を持っていけばよいですか。 答:クマ鈴やラジオなど、音の鳴るものを必ず身に着けて歩いてください。子どものぶんも忘れずに用意してください。クマ撃退スプレーは山に着いてから買えるものではありませんから、環境省も事前の入手を勧めています。食べ残しとゴミを持ち帰るための袋も、忘れずに用意していってください。
問:クマに近い距離で出会ってしまったら、どう動けばよいですか。 答:大声を出さない、背を向けて走らない、物を投げないの3つを守ったうえで、クマを見ながら落ち着いてゆっくり後ずさりしてください。襲われたときの姿勢は、うつ伏せになって腕で首と顔と腹部を守り、動かないというものです。
問:クマやサルを見かけたら、どこに知らせればよいですか。 答:志賀高原野生動物目撃報告フォームから、見かけた場所と時刻をそのまま報告できます。電話の窓口は、志賀高原ビジターセンター 0269-34-2133と志賀高原観光協会 0269-34-2404の2つです。山ノ内町の有害鳥獣対策については、農林振興課 耕地林務係 0269-33-3112が担当しています。
問:歩く予定のコースが通れるかどうかは、どこで確かめられますか。 答:コースごとの状況は、志賀高原ビジターセンターのトレッキングコースのページにまとまって載っています。一覧ではなく、歩く予定のコースの個別ページを出発前に開いて確かめてください。県内の出没状況を見るなら、長野県のツキノワグマ情報マップが早いです。
問:サルに近づかれたときは、どうすればよいですか。 答:近づかない、目を合わせない、餌を与えないという3つを、その場で思い出せるようにしておいてください。食べ物の入ったビニール袋は手に持たず、車道でサルを見かけたときも、路上に立ち止まっての撮影は避けていただきたいところです。
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